チェリモヤというフルーツを知ったのは、今住んでいる家に引っ越してきてからのこと。世界の三大美果の一つに挙げられる果実だというのにそれまで知りませんでした。
そのチェリモヤの花が開花しはじめていて、木の周りはすでに甘い香りが漂っています。わたしにとって四度目のシーズン到来です。
このチェリモヤの花がなかなかの曲者です。受粉するまでのハードルが高く、いろいろな条件が重ならないと受粉しません。
チェリモヤの花は、開き始めは雌しべ、その後、パカっと開いた時に雄しべになる雌性先熟の雌雄異熟花です。
雌しべも雄しべもそれぞれ成熟期間が非常に短くて、雌しべであるのは午前中の数時間から半日程度、そして雄しべは雌しべの後、午後から夜にかけて成熟します。
雌しべと雄しべが同時に成熟する時間帯は基本的には存在しないので、夜のうちに雄しべを訪れた媒介虫が体に雄しべの花粉を付け、翌朝、別の花を雌しべのうちに訪れることで受粉するというわけです。はぁ、と溜息が出るようなプロセス。
さらに、南米アンデス山脈原産のチェリモヤは、媒介虫が南米固有種なので他の地域では自然受粉が難しく、結実の確率を高めるには人工授粉が必要だとされています。花が雌しべである時間は花びらがまだほとんど開いていないような状態なので、蜂などは細長い花の中に辿り着けないようです。
ちなみに、我が家のチェリモヤの木は特に人工授粉をせずとも、毎年、一応10~30個の実をつけているんですよね。小さな虫が媒介してくれているのかな。人工授粉したら収穫倍増かも、といった期待もあります。
この他にも、受粉可能な環境条件として湿度も重要で、高すぎてもダメ、あまり低すぎても花粉が乾燥して受粉しにくいようです。
はぁ。(溜息)